scrap’s blog

If you like water, you already like 72% of me.

金縛りにあった。

 

もう10年以上前のことである。

当時僕は知的障害児の入所施設で勤務していた。

夜勤のある仕事だった。

 

施設といっても大きい建物にまとまっているわけでなく、戸建てがポツポツと集まっている村のような施設だ。

それぞれの戸建ては特性の近い方が集まり“○○寮”として呼ばれている。

 

ある日、僕が担当していたA寮とは別なB寮で死亡事故があった。

社員全員の召集がかかり、沢に降りて人海戦術の捜索をするも間に合わなかったのだ。

今思い出しても胸が痛くなる。

(施設は人里離れた山の中にあった)

 

その晩が夜勤だったのである。

 

 

一通りの業務を終え、あとは見守り。

皆も寝静まっているようだから、僕も少し仮眠しようと考えた。

リビングのカーペットの上にバスタオルを敷き、枕がわりにタオルを丸めて即席ベッド。

あー疲れたーと体をうつ伏せに横たえる。

 

と・・・物音がし始めた。

 

フローリングでキャスターのついたプラスチックの(おもちゃの入った)キャビネットを引っ張り回すような音。

当時、僕が担当していた寮にはどうしようもないいたずらっ子がいて、その時は「あんにゃろう、また起きて何か始めたかorz」くらいにしか思っていなかった。

 

しばらく様子を見て聞いていたけど収まる気配はない。

こりゃまた寝かしつけなきゃ他の利用者ちゃんの迷惑だな〜と思い、体を起こそうと

 

 

固まった。

 

 

腕立て伏せの伏せている状態で見事に固まった。

状況を確認するため、それでも首を回そうとするもそれすらできない。

腕に乳酸が溜まってくる。それでも起き上がることも、うつ伏せにもできない。

 

懲りずに首を回そうとすると、今度は攣るような痛みが走った。

「見るな」ということだろうと理解した。

 

初めて金縛りにあったが、冷静ではあった。

恐怖心はない。だって来ているのは・・・

 

「君の寮はここじゃない、あっちだ」と心で念じる(声も出せない)

音が止み、金縛りが解けた。数分間の出来事だった。

 

朝てて飛び起き、状況を確認。

我が寮は静寂そのもの。よきかなよきかな。

 

 

きっとお気に入りのおもちゃでも取りに帰って来たんじゃないかな。

金縛り中の、妙に平和な空気を今でも覚えている。

生まれ変わりまた会うことができたなら、今度は良い友人として会いたいね。