scrap’s blog

If you like water, you already like 72% of me.

ただ一人

僕には友達がいない。ゼロだ。

ただひとりだけ、身近にいる人物がいる。

元カノだ。

 

暗く重く長く未解決な話。

 

今の彼女との関係は、とても曖昧なものだ。

僕が振られ、その後彼女がよりを戻したいと言ってきた。

別れることになった経緯から、僕にはすっかりそういう気は無くなってしまっていた。

彼女にはこう言った。

「戻りたい・関係を作り直したいというなら、好きにすればいい。近づくことを拒否したりはしない。ただ、あなたが作った溝は広くて深い。それを埋めもどすのに僕は手を貸さない。それは孤独で辛い作業になるだろうけど、それでも覚悟があるなら、好きにすればいい」

 

今それから1年が経とうとしている。

具体的な返答はなく、付き合っているとも別れてた友人関係とも言えない、とても曖昧な状況だ。

彼女は変わらず、彼女らしく振る舞おうと努めているようだ。

・・・僕も変わらず、そういう気持ちにはなれない。
情はあるから、ぜひ溝を埋めきってもらいたいものだとは思う。

僕の1年は、僕が好きだった彼女の幻影との1年だった。

 

 

僕が振られた。

付き合って年が経過する頃、お互いの家を行き来するような半同棲に近いような状態だった。

物理的な距離が近かったためか、彼女の心に変化があることはなんとなく感じていた。

 

ある日、僕が彼女の部屋にいて、彼女が仕事を終え帰宅する時間を気にしつつ夕食を用意していた。

彼女は泣きながら戻ってきた。

何かあったのか、そう尋ねると彼女は言った。

「他に好きな人ができた」

泣きながら彼女はいう。

「でも(僕)のことも好きだ。どうしたらいいかわからない」

なんと声をかけていいものか・・・

 

ある程度冷静を取り戻させた後、僕はその時思ったことを彼女に告げた。

「これから、があるなら、長い時間にそういうこともあるだろう。でも、その度に(彼女)は今みたいに取り乱すの? 当然僕にもあるかもしれない。でも僕なら、その度に「彼女(や嫁)がいるから」と割り切る。そういう風には考えられない?」

ちょっと言葉を選ぶべきだったとは反省しているが、今でもこれは変わらない。

他にも色々話したけど、とにかく思い留まらせたくて必死だった。

 

結局、彼女が出した結論は

「考える時間が欲しい。友人を呼んだから、外で待ってて」

というものだった。

 

秋が深まり寒い季節、財布とスマホだけを持ちコートを羽織り、マクドナルドで待機する。

明日は仕事だから、そんなに長いこと待っていたくないのだが・・・

待っている間に色々考える。

割り切る考えには納得がいかない。僕と考えたくない。友人とは誰??
思い浮かんでは取り消す、長い時間だった。

 

夜の2時を回る頃、彼女から連絡があった。

「少し一人で考えたい。割るけど今日は帰って」

 

 

この少し前、僕は転居の行動をしていた。

どちらかの部屋にいることしかない日々。それぞれがそれぞれの家賃を払うなら、2人で住める部屋を新たに借りて生活した方がずっと経済的だろう。

これは彼女にも相談しつつ決めたことだった。

 

転居にあたり、かつての僕の部屋にあったものはほとんど処分してしまっていた。

長年連れ添った布団一式とか、服、家具、家電。
部屋を一つにする予定だったから、不要だと思った。

必要なものは大方彼女の部屋に預け、あとはいよいよ引越しするだけ、という段階だった。

 

つまり、帰った先に待っているものは、何もない空間だけ、ということになる。

彼女はそれも知っている。

その上で、荷物を取りに戻ることも許さず、ただ「帰って」と。

彼女は、今の可哀想な彼女しか写っていないのだ、と、その時思った。

 

2人入居可の、広めの部屋に帰る。
ものが置いていない、音がよく響く。
カーテンすら張っていない部屋は、電灯をつけても心なしか暗く感じた。

部屋を選ぶ時、ここが寝室、と決めたところでは寝られる気がしなかった。

僕はキッチンの足元で、フローリングの床にコートを着たまま寝そべり、凍えながら朝を迎えた。

 

10月。

 

 

以降、彼女との連絡は取りづらくなった。

何を聞いても要領を得ない返答が続く。

 

ある日、僕は荷物を取りに行かせて欲しいと頼んだ。

彼女は

「友人が泊まることになったから、ダメ」

と答えた。

友人とは、誰。

 

ある日、僕は家具店で買い物をしていた(もちろん、これからの生活のための新調。今更引けないよね)

寝具コーナーででかい枕を見つける。こういうの、彼女好きなんだよね。
買ってしまってから、今彼女の部屋から追い出されていることに気づく。

連絡してみても、いつものように返信はなかった。
まぁいいや。帰り道、彼女が在宅しているようだったら届けて帰ろう。

見上げるマンションの部屋には電灯がついていた。よかった。
が、インターホンには出ない。寝ているのか?

荷物を置いて帰るわけには行かないし、かといってここまで着て持って帰るのもやだ。
怒られるかもしれないけど、ドアの内側に入れるくらいならいいだろう。合鍵を取り出しドアを開ける。瞬間。チェーンロックに阻まれる。

これまでの長い生活で、彼女がチェーンロックをかけたことは一度もなかった。

 

ある日、再三催促した結果、ようやく荷物を取りに行けることになった。

ただ、予定があり時間がないから早く、ということで、ゆっくり整理する暇はない。
服と雑貨をカバンに詰め込む。視界の端には見慣れぬ小物。

彼女は僕がそれに気づいたことで、聞いていないことを答え始める。

「今ね、友達が止まっているんだけど、女だから。間違って持って行かないでね」

いや、ハットはメンズだろう。
そして男だからわかる。充電コードや小物の嗜好。どうみてもメンズだ。

 

数々の浮かび上がる疑惑を「まだ別れたわけじゃない」「彼女はそんな人ではない」と否定する。
疑惑を浮かべる自身を嫌悪するように仕向けもした。「お前は彼女を信じてやれないのか」

 

彼女が

「別れることにする」

といってきたのは、初めから2ヶ月。クリスマス直前だった。

 

 

この時、彼女は告白した。

僕の疑念が間違っていなかったということを。

そして「もっと遊んでいたかった」とも言った。

僕が苛まれている期間、彼女はこれから彼氏となる“友人”をわずか数日で部屋に連れ込み、よろしくやっていたってことか。

 

別れは辛い。

けれど、避けられなかったのなら仕方がない。

2ヶ月。もう十分だ。

幸せだった記憶があるなら・・・

 

「(僕)のことは初めから好きじゃなかった」

・・・耳を疑う。

つまり、付き合っていたと思っていたのは僕だけ?
僕が彼女として捉えていたのは彼女ではなく、ただの幻想だったの?
独りよがりだったの?笑っちゃうね・・・

 

彼女がいうには、彼氏ではなく家族(兄)のような存在だった、と。

なんだそれ。

 

裏切られていた期間は2ヶ月なんかじゃなく、全てだった。

僕は幻を愛していた。
もう2次元にのめり込む人のことをアレコレ言えやしないね。同じだもん。

そう、僕が好きだった人は、最初からいなかった。

 

ここで、完全に彼女への想いは途切れた。

 

 

一人でホールケーキを食べ、一人で初詣し、一人には広い部屋を物で埋めていく。

ここで僕の考えはシフトした。

誰かに認められたい自分でいることに意味はないと。

好きにやろう。

そうだ、せっかく免許があるんだし、一人なんだ。どこか行こう。

バイク、いいね。乗ろうじゃない。

 

彼女がよりを戻したいと言ってきたのは、わずか3ヶ月後の2月。

何があったかは知らない。依存が過ぎる彼女が重たく感じたのかもしれない。はたまた、ヤリ捨てられただけかもね。

実際にはすぐに近づいてこなかったけど、変化があったのは4月。死にかけたとき色々良くしてくれた。上記とは別に、感謝。

 

それから、彼女が勘違いをしたのか、曖昧な状況になった。

 

たとえ幻に対してのものであっても、情はある。

彼女の形、彼女の声が近くにあるなら、それを無視はできない。

 

彼女を信頼信用できない。

「近づきたいなら、好きにしていい」というのは、最大限の譲歩だ。

万一、元に戻してくれるなら、それはそれで願ったり叶ったりだが。

彼女がそれでも近くにいるのなら、苦しくても変化を待とうじゃないか。

 

でも、いつまでも待つ気にもなれない。

どこかでけじめをつけなければ。

 

未だにそれにためらってしまうのは、僕のせいでもあるし、彼女のせいでもある。

彼女は、弱い。けじめを切り出したなら、最悪死を選ぶかもしれない(ただしポーズだったかもしれないけど)。それが心配で切り出せない。

僕は一人だ。けじめを切り出したなら、本当に一人だ。人の社会で人との繋がりが皆無になる、そんな状況は異常だ。今ある程度まともでいられるのは、なんにせよ気にかけてくれる元カノがいるからかもしれない。

 

ごちゃごちゃしているのは、僕の心がそうだからだろう。