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scrap’s blog

If you like water, you already like 72% of me.

慌ただしい仕事が終わると、帰る頃は珍しく遅い時間だった。

いつもと違う街の表情に、少し寄り道したくなる。

建物の2階付近から路上を見下ろすと、アーケード街の交差点近くまで人だかりが伸びていた。皆、手拍子をしている。

この街はよく知っている。九州の、あのアーケードだ。

いつも同じ曜日の同じ時間、同じ場所で歌う人がいると、友人が言っていたことを思い出す。おそらくそれが目当ての人たちだろう。

 

友人とは中学?高校?からの付き合いでよく知っている。共に音楽部だ。

僕はともかく2年生の友人が入部したのは、1つ下の女の子に憧れていたからだ。

そろそろ受験も考えなければならない時期の中、彼は彼女の影響で普通に受験するのか・本気で音楽やるのか、という若者らしい決断を迫られていた。

 

時間は流れ、今。

群衆が集る演奏に興味を持ったのか、いつの間にか待ち焦がれる人混みに紛れていた。

が、自分が異分子のように思えてちと恥ずかしい。

天井を支える太い柱に寄りかかるように、立って待つ。

色々な人がいる。折りたたみの椅子を持参している人。
年齢層も様々。性別は半々。遅い時間のはずなのに、皆 全体的に暗色系の服装だ。
制服やスーツ等、正装のイメージだ。

 

ついに奏者が現れた。全力でカントリーな印象を放つ格好をしたおっさんだった。

用意されたパイプ椅子に座り、アコースティックギターを構え、演奏を始める。歌い始める。

聴かせるために来たというより、そういう日課で来たというような感じだ。

曲は聞いたことがあるようなないような、どこか懐かしく思える外国の民謡のような印象だった。これでこれだけの人気が出るのだろうか。

人だかりの中には、合わせて歌を口ずさむ人がいた。
同じくギターを持参して、合わせて演奏する人もいた。

著作権(演奏権)とか大丈夫なのだろうか?」とか頭によぎり、いやいや、多分これはオリジナルだろう。

気づけば、そのギターを持参した聴客のひとりは友人だった。

友人はこちらに気づき、ギターを見せつけ「お前弾けよ!」と言わんばかりだ。嫌だよ、恥ずかしい。

苦笑いしながらやさしい音楽を聴く。

単調に繰り返されるメロディ。
子守唄のように低く響く歌声。

 

・・・目が覚めた。

現在22時半。ソファで眠ってたみたいだ。